転職活動中のできごと
転職活動は正直面倒臭い。
まず履歴書と職務経歴書を作成しなければ
ならないが、これが実に難しい。
プロフィールのような事実を記述していくだけならまだしも、スキルとか強み、弱みを書くとなると普段使わない頭を使う。
普段強みとか弱みを意識して働いたことなんか無いので直ぐにはまとまらない。
そんな状態で本業の仕事もしているわけで、
正直最初はやめてしまいたくなるだろう。
この時点で転職活動を開始するかどうか
二手に分かれるところだ。
何としても転職する動機があって続けるか
面倒くさくてやめてしまうか。
僕の場合は何度かこの時点で辞めてしまったのだが、会社への愛着がプチっと切れてから次の活動では、迷うことなく書類作成を進めた。
もちろん最初から良い書類を書けたわけではないが、何度か書類選考の落選や転職エージェントのチェックを受けて、次第に選考に通る良いものが仕上がっていった。
書類が通るようになると今度は面接である。
面接も転職者の心を折るのに充分なハードル
となる。
まず準備だが、何をして良いかわからない。
よっぽど好きな企業があって入りたいので
ない限り、まずは企業を調べるところから
始まる。経営理念、事業概要、業績。
1社調べるだけでも相当な手間だ。
ところが実際に面接を受けると事前に学習した
知識が全然役に立たないことが多々ある。
相手も面接のプロだから生半可な知識では
全く通用しないし、ましてや答えが矛盾して
いたら一発ノックアウトだ。
面接で不合格が続くと書類選考よりよっぽど
落ち込むだろう。人格というか存在そのものが
否定されている気になるのだ。
人と話すのが得意じゃない人は僕も含め
非常にきついだろう。
豆知識だが、面接の通過率は平均で約3割だ。
つまり10回受けたら7回落ちることになる。
7回連続で落ちたら死にたくなるだろう。
僕みたいに。
だからここでも多くの人が転職活動を諦めてしまう。
しかし経験談だが、ある時突然コツを掴んだりもする。僕はその典型で8回連続で落ちた後に3回連続で受かった。
つまり面接にはコツがあるのだ。
僕は会社への反骨精神のおかげで、
面接落選の恐怖を運良く克服できた。
そして面接に受かるコツも理解できたのだ。
人間何が吉と出るか、本当に分からない
ものである。
何故転職をしたのか2
大抵のサラリーマンは転職をしようと
考えていると思う。
最近の求人倍率は非常に高く、未曾有の
売り手市場だから、特に今はチャンスと
考えて転職サイトを開くと人が多いはずだ。
とはいえ日系企業には結構多いかもしれない。
なんだか煮え切らなくて転職サイトに登録する
だけするけど、本腰を入れてはやらない人。
その中から実際に転職する人となると
非常に少なくなって来るだろう。
予備軍は沢山いても行動するに至らないのは
やっぱり変化することが怖いからだと思う。
僕も予備軍の1人だった。
色んな転職サイトに登録はするものの
いざ求人に応募するとなると何だか
めんどくさくなってきてしまう。
環境を変えるのが怖いのだ。
そんな僕を転職に踏み切らせたのは
上司の言葉だった。
「あんまり頑張るなよ」
僕の中で会社への愛着みたいなものが
プツッと切れた瞬間だった。
その時僕はある新しい案件を任されていた。
つまらないルーティン作業の延長ではあるけど
自分なりにベストを尽くそうとして色々と
企画しようとしていた時だった。
その時の上司は結構長い付き合いで
気心がしれているといえばそうだった。
僕の提案は上司の立場からしてみれば
確かに面倒臭かったかもしれない。
黙っていれば毎月決まった売上が出るものの、
お客さんの利益も増やしてあげたかったので
経費を使って広告を打ってあげて、もっと
お客さんの売上を増やすという企画だった。
お客さんの利益も増えれば最終的には
自社の利益も増えるので、特に問題は
無いと思っていた。気心が知れてるから
余計にそう信じていた。
ところが上司は完全に却下。
理由は社内申請を通すのが面倒臭いから。
なんだか腹がたつというよりガッカリした。
企画が良くないとか予算がないとか明確な
理由があれば解決するために頑張るけど
社内申請が面倒臭いと言われるとは
思わなかった。
よくよく同僚や後輩と話すと
殆どの部署で同じような状態だった。
みんなバカバカしくて提案なんてしなくなった。
上司は毎日飲み歩いていた。
顔つなぎも確かに立派な仕事だと思う。
それは否定しない。
しかし市場が右肩下がりの中、
お客さんも困っていた。僕も含め若手世代は
それなりに危惧して対策を講じたかったのだ。
酒を飲んで顔つなぎして現状維持だけして
守れるのは上司の世代までだ。
「頑張るなよ」という一言で、
僕は誰のために、なんのために働いているのか
わからなくなってしまった。
僕の提案が却下されたその日、
48歳の上司は会社の経費で同期会をして
飲みすぎて二日酔いだったそうだ。
あーこの会社ダメだな。
100人中100人そう思うんじゃないだろうか。
何故転職をしたのか1
転職をして半年ほど経った。
時間が経つと頭も整理されてくるもので
「なんか面白くない」という漠然とした理由も
だいぶ整理されてきたと思う。
転職前の会社は創業30年以上の会社で
比較的安定産業の大手だった。
多分今後も10年は潰れないだろう。
取引先からも大手ということで結構ひいきに
されていたし、待遇も悪くなかった。
しかし売上はじわじわと下がり続けており
明るい未来があるとはお世辞にも言えない
状況で、暗いムードも漂っていた。
会社の風土は、正に古き良き日本の会社。
先輩後輩、上司部下の関係はきっちりしており
入社学年が1歳しか差がなくても先輩は先輩、後輩は後輩という文化だ。
中途入社は少なく、新卒からずっといる人達が
全体の99パーセント。社内の人は大抵顔を知っているという関係だった。
配置替えなどは勿論あるが、何年かすると
また一緒のメンバーがアサインされることも
多々あった。社内ではそうやって人間関係を
作っていくのが良い会社だと本気で思って
いるようだった。
社内の常識とは裏腹に、僕のつまんない度は
どんどん上がっていった。
毎日同じ話。(主に上司の愚痴)
人事異動予想。同じ部署の人の噂話。
変わらない内容の仕事話。
上司はいつも同じ昔話をしていた。
今後の会社の衰退予測などを話すと
明らかに不機嫌になった。
「それを何とかするのが次の世代だろう」
「君たちの世代が声を上げないと会社は変わらないぞ」
上司は決まってそう言っていた。
『そりゃ分かるけど会社全体の問題でもあるだろ!』
いつも心で叫んで押し殺していた。
最初の内はストレスが溜まっていたが
10年経つうちに慣れてしまっていた。
まー世の中そんなもんだよね。
と思いながら、物分かりのいい奴を演じていたのだ。
今考えると本当にムダな時間だった。
本当の気持ちを押し殺すのはストレスが溜まる。勿論ある程度の我慢は大人として必要だ。上司の言うことも100%間違っているわけじゃない。
でも人生は一回きりだ
残り定年まで、その時あるかどうか分からない
会社にいるために、自分を押し込め続ける必要があるのか?
ある時プツッと切れた。
何でもない資料を作成してる時だったと思う。
それは突然訪れるということを僕は身をもって知った。
転職を迷っている人達へ
先日約10年勤めた会社を辞めた。
辞めることに不思議と抵抗はなかった。
いい会社の定義は人それぞれだが
収入や勤務時間を考えると条件は
悪くない会社だった。
それなら何故辞めたのか?
それはサラリーマンを数年したことあれば
誰しも陥る思考に自分が陥っていたからだ。
「なんか面白くない」
まじめに仕事に打ち込んでいる人から
してみれば、
「ふざけるな!」
と言いたいところだと思う。
でも一回気持ちが切れると、退職願望は
どんどん膨れ上がっていった。
毎日決まり切ったルーティンワーク。
上司には愛想笑いをしつつ話を合わせ
コロコロ変わる会社の方針と人事を
横目で見ながら18時半になるのを
今か今かと待っている毎日。
最初は「この会社を変える!」
なんて意気込みもあったけど、
10年経つうちに「まぁこんなもんだよね」
となぁなぁにしてしまう自分が嫌で嫌で
仕方がなかった。
こんな気持ちのサラリーマンって
結構たくさんいるんじゃないかな。
そして「こんな自分ダメだ!」と思い
自分を変えるために僕は転職した。
スキルも熱意も無かったから転職活動では
相当に打ちのめされた。
何ができるの?
何がしたいの?
何で辞めたいの?
全く整理ができていない自分はもちろん
面接に落ちまくった。
今考えると無謀過ぎたと思う。
「自分はこんなにどうしようもない奴だったのか。」
こんな風に落ち込みまくった。
でも何度も何度も打ちのめされて
その度に対策を練ると
だんだん合格率が上がっていった。
そして無事転職を成功させる事ができた。
今では楽しく転職先で働いている。
転職活動でボコボコに打ちのめされてると
いかに自分が世間知らずなのかよく分かる。
反面、強みや弱みを客観視することもできる。
改めてやりたいことを真剣に考える。
あのままヘラヘラと元の職場で働いていたら
自分はずっと世間知らずのままだった。
今よりもっとダメになっていたと思う。
だから言いたい。
転職を迷っている人達へ。
迷っているならとりあえず活動してみる方がいい。
最終的に転職しなくてもいいと思う。
大事なのは、自分を客観視すること。
自分が社会の中でどんなポジションにいるのか
理解することだ。
そうすれは自然と嫌だった今の会社も
たいして嫌じゃなくなるかもしれないし
未来に希望を持つこともできる。
悶々としている時間が一番もったいない。
勇気がいることだけどやってみよう。